コロナショックの今見るべき!おすすめ映画ランキング!!
新型コロナウイルスのこの時期に自宅で鑑賞してほしい映画ランキングを紹介いたします。
順位付けに意味はありませんが、あなたにあった作品が見つかるように、レビューも用意しております。
1位.ジョン・カーニー『シング・ストリート 未来へのうた』
(国内で見れる)過去作にどこか「音楽は良くて素敵な映画だけど、いい気なもんだな」という距離感は否めなかったジョン・カーニー、でも本作では万人が思い描くような「ありえたかも知れない青春」のイメージを凝縮させながら、それを痛ましさと同居させることでいつも以上に親近感を生じさせていた.
80年代ダブリンを生きる少年の未来は決して楽観出来るものではなく、と同時に夢物語では無いからこそ現在と地続きにも感じられる.
「かつて私はそうして未来を夢見たのではないか」という不思議な幻想.無かった筈の過去を思い出し、「再び未来を夢見よう」と奮い立つような.
『映画 けいおん!』の卒業の日のクラスでのパフォーマンスぶりに、「映画の好きな演奏シーン」を更新してくれたDrive It Like You Stole It.そういう一点突破の場面があるということは大事だと思うので、1位.
2位.ノア・バームバック『マリッジ・ストーリー』
NETFLIXに居場所を見出した監督たちの中でも、作品のサイズ感と配信フォーマットの齟齬の無さにおいてノア・バームバックほどフィットした監督はいないのでは.
今後離婚調停モノの映画の代表作として惰性でつい『クレイマー、クレイマー』を思い描いた映画ファンの誰もが、「いや、そんな過去作より『マリッジ・ストーリー』でいいか」と自然と思ってしまうはず.
こんなに明確に映画史の更新に立ち会えた経験が嬉しい.
3位.ジェレミー・クラパン『失くした体』
今年アヌシーを獲ったアニメの頂点.ここまでのクオリティに達すると各種映画賞で「アニメ部門」が実写と切り分けられているのが悔しい.
体から切り離された「手」が彷徨し、同時にその手の主がまだ手と繋がっていた頃の記憶が甦る.
NETFLIXのお陰で、例えばアニメだけでも『生きのびるために』『クロース』等傑作群と出会えたのは嬉しいのだけど、本作は『マリッジ・ストーリー』と対象的にハッキリと「あぁ、これは映画館で初見するべき映画だった…」と終盤痛感し続ける羽目に.
『イリュージョニスト』級に忘れられない映像体験になっただろうなぁと.
4位.ポール・バーホーヴェン『エル ELLE』
レイプされながら警察に訴え出ず再び襲われるゲーム会社女社長の日々を描く.ジャンル分けも不能だし、正直エロティックな枠組みで語るのはあまりに的外れだろうとも思う.
拠って立つ世界の確かさから切り離された個人の実存が、信じられないくらい明瞭に全編持続している.不明瞭である今が、明瞭に.『ブラックブック』の価値も今見ると変わってくるんじゃないか.
ただのリョナポルノみたいな劇中のゲームが、普通に売る気満々のPS4ソフトとして発売パーティーしてて笑ってしまった.バーホーヴェンにはゲームがああ見えてるのか.
5位.リチャード・フランクリン『サイコ2』
展開を一つもバラしたくない、物語に翻弄され連れ回される醍醐味.
古典である一作目より名作かも知れない.
6位.カイル・ニューアチェック『マーダー・ミステリー』
殺人ミステリーコメディなのでこれもあまり予備知識なしで見て欲しい.
気軽に見れるエンタメとして文句なし.
7位.チャン・ジェヒョン『サバハ』
白石晃士監督が一人で繰り広げ続けていたかに見えた、「オカルト映画」という分野がいつのまにか世界中で盛り上がってきている印象.
非常に胡散臭い話をしている筈なのに、映画が見えない力に引きずられている感覚.
ここから終盤、という時にあるキャラクターがいきなり自身の宗教性を曝す場面、特にストーリー上の意味は無いのに、「ここからは神々の世界だ」と世界のリアリティラインが底上げされたような興奮が.
8位.フラント・グォ『流転の地球』
荒唐無稽なSF超大作.子供の頃ハリウッド映画で慣れ親しんだテイストを、キチンとアップグレードさせた形で成立させた中国映画.
設定の一つ一つが大き過ぎて加減しろと思うしトンデモ度は高いのだけど、全てが突き抜けているからこそ映画に推進力が(文字通り地球にエンジンを付けて推進させていく話)宿る.
これはたまたま中国にスポットを当てているだけで、今世界中で似たようなドラマが展開しているのだろうと想像させるような塩梅も好感.
これもミステリーなので感想言いづらい.
昨年もっとも浸れる余韻だったのは間違いなく、監督誰か知らずに見ていたのでクレジットを見た瞬間一気にトルナトーレの過去作の余韻が重なってエモに襲われていた.
10位.ディーン・イズラライト『パワーレンジャー』
拾いものでした.
本当に戦隊ヒーロー物をやってるだけなのだけど、ホロホロしていた.
11位.クリストファー・ルイ『XOXO』
映画の為に架空の音楽フェスを一つ丸々創り上げて、そこに薄い話が乗っかっている、本末転倒な作品.
でも好き.
映画が音楽フェス作っていいんだ、っていう驚き.
12位.クリス・ロビンソン『ビート ー心を解き放てー』
ひきこもりの少年がHIPHOPでのし上がろうとする.
ベタな話だし評判がイマイチなんだけど、自分には刺さった.
逆に『ロクサーヌ、ロクサーヌ』は予備知識持って無いので全然面白くなかった.
13位.アッバス・キアロスタミ『そして人生はつづく』
ラストシーンのあの映像の豊かさ.
大好きな『サマリア』ラストを思い出す.
車が動くだけのことにこんなに心動かされることが嬉しい.
14位.ディック・マース『ハント・餌』
オランダで人喰いライオンが大暴れ.
今またリングのリブートをさせられる、機械的な仕事になっても誰も攻めないような企画なのに、投げるでなく、ただ踏襲するでなく、誠実な語り直しをやりきっている.
16位.ウディ・アレン『マジック・イン・ムーンライト』
安定のウディ・アレン印なれど、『ミッドナイト・イン・パリ』ぶりに「絵」が良い.
17位.アダム・レオン『浮き草たち』
『6年愛』『キングス・オブ・サマー』『アメリカン・スリープオーバー』etcetc…
昨年春に大量摂取した青春映画の中でも、小ぶりな映画ゆえに許されるあまりに気の抜けた物語の決着のさせ方が可愛い.
18位.サリーマ・コロマ『バッド・ラップ』
アメリカで活動する韓国系ラッパー達の姿を捉える.
現在女優として大ブレイクを果たしたオークワフィナの孤軍奮闘と、彼女の仲間面しつつ「まぁアイツは女だからウケんだよ…」と陰口たたく男の結構なしょうもなさと.
マイノリティという問題とは別に、「今ひとつ跳ねないアーティスト達の失敗」の姿が、成功者のドキュメントばかり見てると新鮮だった.
あの絶対炎上するだろう内容のMVを天然で作っちゃうバカ、忘れられないな.
本作と『女神の見えざる手』と、どちらもジェシカ・チャスティン主演の、やはり男達の世界で孤軍奮闘する女性の駆引きの物語.
一本一本がその女優の代表作となりそうな傑作に立て続けに出ている凄味.
20位.M・ナイト・シャマラン『ミスター・ガラス』
たった3本きりの、特に予算がかかっている訳でもない、絵面的にも非常に地味なユニバースにここまでの愛着が沸くなんて.
ヴィランをヒーロー化するでなく、ただヴィランとしてのヴィランに寄り添うことが出来るのは今シャマランだけ.
21位.ジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファリス『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』
表向き分かり易いフェミニズムとミソジニーの善悪の構図を立てた上で、感情で割り切れない人の弱さや情を繊細に散りばめ、そしてまた最後に明確な勝負という見せ場に戻って来る.
描写がストイックで物足りない向きもあろうけど、名作ぶろうとしない良さがあった.
22位.ジョー・ダンテ『マチネー/土曜の午後はキッスで始まる』
ずっと観たかったんだよ~NETFLIXありがとう.
23位.佐藤順一『ARIA The AVVENIRE』
桃源郷のロマンがまだ健在だった嬉しさ(『あまんちゅ!』は耐えられず切ったし『たまゆら』も駄作だと思っているので、あまり期待していなかった).
24位.バルタザール・コルマウクル『湿地』
事件が決着しても、土着の歴史の哀しみがじわじわ押し寄せて観客をスッキリ帰してくれない、そういうとこが北欧サスペンスの本当の良さだと思っているので.
25位.ギデンズ・コー『怪怪怪怪物!』
『グエムル』と岩井俊二(濁した言い方)を混ぜたシーンが最高過ぎて.
国境を越えて「世代!」ってなる共感が楽しかった.
以上.今年はもっとバリエーション豊かにしてみたいですね.